会社を退職すると、自由な時間が増えてスッキリ……と思いきや、実はやることが山積み。退職後の手続きを放置すると、健康保険や年金、税金で思わぬトラブルに巻き込まれることも。面倒だからと後回しにすると、いざというときに困るのは自分。この記事では、会社を辞めた後に必要な手続きをすべて網羅し、やるべきことをスッキリ整理しました。しっかりチェックして、スムーズな退職ライフを送りましょう!
退職後に必要な手続き一覧
まずは、ざっくりと退職後に必要な手続きをまとめてみます。
以下のような項目があるので、一つひとつしっかり確認しましょう。
- 健康保険の切り替え(任意継続、国民健康保険、扶養)
- 年金の手続き(国民年金への切り替え)
- 失業保険(雇用保険の給付申請)
- 税金関連(住民税、所得税の精算)
- 企業年金や退職金の受け取り
- 転職・再就職時の手続き
- その他(クレジットカード、ローン、携帯電話の変更など)
では、ここから一つずつ詳しく解説していきます。
健康保険の切り替え:退職したらすぐに手続きを!
会社を辞めると、これまでの健康保険が使えなくなります。
新たに自分で手続きしないと、医療費が全額自己負担に!
特に、病気やケガで急に病院にかかることを考えると、早めの対応が必要です。
健康保険の切り替えには主に3つの選択肢があります。
1. 任意継続健康保険
退職前に加入していた健康保険を最長2年間そのまま使える制度。
メリットは、継続するので手続きが簡単なこと。
ただし、保険料は全額自己負担になり、月額が倍になることも。
退職後すぐに次の職場が決まる場合は不要ですが、転職活動が長引く可能性がある場合は、選択肢として検討するとよいでしょう。
また、申請期限が退職後20日以内と短いので、早めに動くことが重要です。
2. 国民健康保険
自治体の国民健康保険に加入する方法。
扶養家族がいる場合もカバーできるが、保険料は所得に応じて決まるので、退職前の収入が高いと負担が大きい可能性あり。
特に、前年の収入が高いと、退職して収入が減っても、しばらく高額の保険料を支払わなければならない点に注意が必要です。
ただし、減免制度がある自治体もあるため、市区町村の役所に確認してみるとよいでしょう。
3. 家族の扶養に入る
配偶者などが会社員で健康保険に加入していれば、扶養に入れることも。
条件があるので、配偶者の会社に確認してみよう。
例えば、収入が一定額以下であることが求められることが多く、アルバイトや副業をしている場合は制限に引っかかることもあります。
また、扶養に入る場合の手続きは配偶者の勤務先を通じて行う必要があるため、手続きを進める前に必要書類を確認しておくとスムーズです。
年金の手続き:国民年金への切り替えを忘れずに!
退職すると、厚生年金から国民年金に切り替える必要があります。
年金は将来のための大事な制度なので、放置せずにすぐ手続きを。
特に、納付を怠ると将来の受給額が大幅に減少する可能性があるので、計画的に進めましょう。
1. 会社員から自営業・無職へ
会社員時代は給与天引きだったけど、退職後は自分で納めることに。
国民年金の手続きは、退職から14日以内に住んでいる市区町村の役所で行う。
また、20歳以上60歳未満の日本在住者は、国民年金の加入が義務付けられているため、未納扱いにならないよう注意が必要です。
未納が続くと、将来的に受け取れる年金額が減少するだけでなく、障害年金などの受給資格を失うリスクもあるので要注意。
2. 払えない場合は免除申請
「退職したばかりでお金がない!」という人は、免除や猶予制度を活用しよう。手続きすれば未納扱いにならず、将来の年金額も確保できる。
免除制度には、全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除の4段階があり、収入状況によって適用が決まる。また、50歳未満の人は「納付猶予制度」を利用することで、一定期間納付を先延ばしすることも可能。
さらに、免除された期間も年金の受給資格期間に含まれるため、老後の受給権確保のためにも必ず申請しておこう。手続きは市区町村の役所や年金事務所で行えるので、早めに相談することをおすすめします。
失業保険の申請:失業手当をもらうには?
退職後、次の仕事がすぐに決まらない場合は、雇用保険から失業手当をもらえる可能性がある。
ただし、申請しないともらえないので注意!
また、受給資格を満たしているかどうかの確認も重要なので、早めに準備を始めよう。
1. 失業保険の申請条件
- 離職前の2年間に、雇用保険の加入期間が12カ月以上あること(短期契約の仕事を繰り返していた場合も要確認)
- 退職後も就職の意思があること(専業主婦になる場合やフリーランス転向の場合は対象外になる可能性がある)
- ハローワークで求職活動をすること(求職活動実績を一定回数以上報告する必要がある)
2. もらえる金額と期間
もらえる金額は、退職前の給与によって変わる。
基本的に直近6カ月の給与をもとに計算され、平均給与の50%〜80%程度が支給される。
期間も、自己都合退職か会社都合退職かで異なる。
自己都合退職の場合、基本的に給付開始まで2カ月の待機期間があるが、ハローワークで積極的に求職活動を行うことで、スムーズに受給を開始できる。
また、年齢や勤続年数によって受給期間が変わるため、自分の状況を確認しながら計画を立てるのが重要だ。
特に50歳以上で長年勤めていた人は、受給期間が長くなるケースもあるので、ハローワークで詳細を確認してみよう。
退職後の税金対策:住民税・所得税を忘れずに
1. 住民税はどうやって払う?
会社員のときは給与から天引きされていたけど、退職すると自分で納める必要がある。
普通徴収(分割払い)か、一括払いを選べる。
普通徴収の場合は、各市区町村から送られてくる納付書を使って、指定の金融機関やコンビニ、オンライン決済で支払うことができる。
一括払いを選ぶ場合は、資金計画をしっかり立てておこう。
また、転居を伴う場合は、新しい自治体へ転出・転入の届け出を忘れずに。
住民税の金額は前年の所得を基に計算されるため、退職後の収入がなくても前年の収入に応じた住民税を支払う必要がある点に注意。
転職までの期間が長くなる場合は、分割払いを活用するのも賢い選択肢です。
2. 確定申告は必要?
退職後にアルバイトやフリーランスをする場合は、確定申告が必要になるケースも。
年末調整がないので、必要に応じて自分で対応しよう。
確定申告が必要な主なケースとして、以下のような状況が考えられます。
- 退職金以外に副業などの所得がある場合
- 退職時に所得税を源泉徴収されたが、年末調整を受けていない場合
- 医療費控除やふるさと納税など、税金の還付を受けるための申請が必要な場合
確定申告は、原則として翌年の2月16日から3月15日までに行う必要があります。
申告方法としては、税務署へ直接行く方法、郵送、またはe-Taxを利用する方法があります。
e-Taxを活用すると、自宅からでも簡単に申告できるため、時間がない人にはおすすめです。
また、退職後に転職せずフリーランスとして働く場合は、青色申告を検討するのもよいでしょう。
青色申告は節税メリットが大きく、帳簿を適切に管理することで所得控除を受けられるため、税負担を軽減できます。
退職金と企業年金の受け取り方法
職金や企業年金がある人は、受け取り方法によって税金の負担が変わる。
受け取る際の選択肢と、それぞれのメリット・デメリットを把握し、最適な方法を選ぼう。
1. 一括受け取り vs. 分割受け取り
- 一括受け取り:
退職所得控除が適用されるが、金額が大きいと税金が高くなる可能性も。
また、一括受け取りの場合は退職した年の収入が急増するため、所得税率が上がるリスクも考慮する必要がある。
ただし、長期間にわたって受け取る必要がなく、一度で資金を確保できるため、住宅購入や投資などに使いやすいというメリットもある。 - 分割受け取り:
年金のように毎月、または年単位で受け取ることで税金の負担を分散できる。
特に、退職後の収入が減ると見込まれる場合は、分割受け取りを選ぶことで所得税を抑えられる可能性が高い。
ただし、長期間にわたって受け取ることになるため、将来的なインフレリスクや制度変更の影響を受ける可能性もある。
2. どちらを選ぶべき?
どちらが得かは、個々の収入状況やライフプランによる。以下のポイントを考慮して選択しよう。
- 現在の収入:退職後の収入がほとんどない場合、分割受け取りの方が税負担を抑えやすい。
- 投資の計画:まとまった資金を運用して増やしたい場合は、一括受け取りも有効。
- 年金受給開始年齢との兼ね合い:年金受給前に資金が必要なら一括受け取りのほうが適している。
計算ツールや税理士に相談して、最適な選択をしよう。
まとめ:退職後の手続きを忘れずに!
退職後の手続きは多くて大変ですが、必要な対応を怠ると、思わぬ不利益を被る可能性があります。
スムーズに進めるために、以下のポイントを押さえましょう。
- 健康保険の切り替え:任意継続、国民健康保険、扶養のどれかを選び、退職後すぐに手続きを。
- 年金の変更:厚生年金から国民年金へ切り替えを行い、14日以内に市区町村で申請。
- 失業保険の申請:申請条件を満たしていれば、ハローワークで手続きをして給付を受ける。
- 税金対策:住民税や所得税の納付方法を確認し、確定申告が必要かどうかをチェック。
- 退職金と企業年金の受け取り:一括受け取りか分割受け取りか、自分に合った方法を選択。
次にやるべきことは?
退職後の手続きを進めるために、まずは 必要な書類をそろえて役所やハローワークで申請 しましょう。
特に健康保険と年金は早めの対応が必要です。
また、失業保険の申請は一定の求職活動が必要になるため、ハローワークのスケジュールを確認しておくとスムーズです。
もし手続きが複雑で不安なら、専門家(税理士や社労士)に相談するのも一つの方法です。
しっかりと準備をして、退職後の生活を安心してスタートさせましょう!