相続手続きを始めると、銀行や法務局からほぼ必ず言われる言葉があります。
「亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を用意してください」
ここで多くの方が立ち止まります。
- 出生から死亡までって、本当に全部必要なの?
- どこの役所で取るの?
- 何通くらいになるの?
- 本籍地が分からない場合は?
- 途中で本籍を変えていたらどうなる?
戸籍は専門用語も多く、仕組みも複雑に見えます。
ですが、順番を押さえれば迷わず集められます。
この記事では、
- なぜ「出生から死亡まで」が必要なのか
- どこで取得するのか
- 何通くらいになるのか
- 迷わない取得の順番
- よくある失敗と回避策
を、初心者でも判断できる形で整理します。
※この記事は「相続で必要な戸籍」シリーズの一部です。
相続全体で戸籍がどこまで必要かを先に整理したい方は
【相続で必要な戸籍まとめ】
から読むと全体像がつかみやすくなります。
この記事で分かること
- 出生から死亡まで必要になる理由
- 戸籍の取得場所(本籍地の考え方)
- 何通くらいになるかの目安
- 本籍地が変わっている場合の対応
- 取得の順番
- よくあるミスと回避方法
- すぐ使えるチェックリスト
まず結論だけ知りたい方へ
- 相続では「相続人を確定するため」に出生までさかのぼる
- 取得場所はそれぞれの戸籍の本籍地
- 本籍を変更していれば、その都度取得が必要
- 人によっては5通〜10通以上になることもある
- 最新の戸籍1通では足りないことがほとんど
ここを理解しておけば、手続きで大きく迷うことはありません。
なぜ出生から死亡まで必要なのか

相続の本質は「財産の分配」ではなく、まず
法定相続人を確定すること
です。
亡くなった方に、
- 前の結婚で子どもがいないか
- 認知した子がいないか
- 養子がいないか
を確認する必要があります。
現在の戸籍(最後の戸籍)だけでは、過去の婚姻や認知の記録が確認できない場合があります。
そのため、出生までさかのぼる必要があるのです。
「出生から死亡まで」とは具体的に何を集める?
実際に集めるのは次のような戸籍です。
- 現在戸籍(死亡記載のある戸籍)
- 除籍謄本
- 改製原戸籍
これらをつなげて、出生から死亡まで「途切れなく」確認できる状態にします。
除籍や死亡記載との違いがあいまいな方は、
【内部リンク:死亡記載のある戸籍と除籍謄本の違い】
もあわせて読むと整理できます。
戸籍はどこで取る?住所地ではない
戸籍は、
本籍地の市区町村
で管理されています。
ここが最大のポイントです。
住所地(住民票のある市区町村)ではありません。
たとえば、
- 亡くなった方の本籍が東京都
- 最後の住所が大阪府
この場合、戸籍は東京都で取得します。
本籍地が変わっている場合はどうなる?

人生の中で本籍地を変更(転籍)していることは珍しくありません。
本籍地を変更すると、
- 旧本籍地の戸籍は除籍になる
- 新本籍地で新しい戸籍が作られる
つまり、転籍の回数だけ戸籍が増えます。
戸籍が複数ある理由を詳しく知りたい方は
【なぜ1人の人にいくつもの戸籍があるのか?】
をご覧ください。
実際の取得の流れ(迷わない順番)
ここが実務で一番重要です。
ステップ1:最新の戸籍を取得する
死亡記載のある戸籍を本籍地で取得します。
ステップ2:前の本籍地を確認する
戸籍の中に「前の本籍地」が記載されています。
ステップ3:前の本籍地へ請求する
そこからさらに前の戸籍を取得します。
ステップ4:出生まで繰り返す
これを繰り返して、出生までさかのぼります。
焦って全部同時に探すのではなく、
「今ある戸籍から1つ前へ」たどるのがコツです。
何通くらい必要になる?
人によって大きく違います。
少ないケース
- 本籍変更が少ない
- 婚姻歴が1回のみ
→ 3〜4通程度
多いケース
- 転籍が複数回
- 婚姻・離婚歴あり
- 改製原戸籍あり
→ 7〜10通以上になることもあります。
「多い=異常」ではありません。
制度上、自然なことです。
よくある失敗
最新の戸籍1通だけで済むと思う
相続ではほぼ不足します。
本籍地と住所地を混同する
戸籍は本籍地、住民票は住所地です。
除票との違いはこちら
【除籍謄本と住民票の除票の違い】
転籍歴を確認せずに終わる
戸籍の「前本籍」の記載を見落とすと不足します。
郵送請求はできる?

遠方の場合は郵送請求が可能です。
必要なものは通常、
- 戸籍請求書
- 本人確認書類の写し
- 定額小為替
- 返信用封筒
などです。
詳細は各市区町村のホームページで確認します。
判断フロー|自分はどう動けばいい?
- 相続目的か?
→ YESなら出生まで想定 - 本籍地は分かるか?
→ 分からなければ最新戸籍から確認 - 転籍歴があるか?
→ あるなら前本籍地へ請求 - 戸籍が多くて混乱している?
→ 仕組みから理解
【なぜ1人に複数の戸籍があるのか?】
窓口での伝え方
「相続手続きで必要な、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集めたいです」
と伝えるとスムーズです。
提出先が決まっている場合は
「銀行提出用」
「法務局提出用」
と添えるとさらに案内が早くなります。
すぐ使えるチェックリスト
□ 相続目的であることを確認
□ 本籍地を確認
□ 最新戸籍を取得した
□ 前本籍地を確認した
□ 出生まで途切れなく確認できる状態かチェック
まとめ|焦らず“たどる”のが最短ルート
相続で「出生から死亡まで」が必要なのは、
相続人を正確に確定するためです。
戸籍は本籍地で管理されています。
迷ったら、
- 最新戸籍を取得
- 前本籍を確認
- 出生までたどる
この順番で進めれば大丈夫です。
全体像を整理したい方は
【相続で必要な戸籍まとめ】
から確認してください。


