相続の手続きを進めていると、銀行や法務局、保険会社などでよく言われます。
「亡くなったことが分かる戸籍を提出してください」
「除籍謄本も必要です」
でも、ここで多くの方が止まります。
- 死亡の記載がある戸籍と除籍謄本って何が違うの?
- 死亡の記載があるなら、それで十分じゃないの?
- 相続では「どれ」を取ればいいの?
- 本籍地が分からない場合はどうするの?
- 何通くらい必要になるの?
名前が似ているうえに、提出先によって言い方もバラバラなので混乱しがちです。
ただ、ポイントを押さえると「何を取ればいいか」は判断できます。
この記事では、専門用語が苦手な方でも迷わないように、
- 死亡記載のある戸籍と除籍謄本の違い
- 相続で必要になりやすいパターン
- 取得の順番と注意点
- よくある失敗の回避法
を「判断できる形」で整理します。
※この記事は「相続で必要な戸籍」シリーズの1本です。
相続で戸籍がどこまで必要か、全体像から整理したい方は先にこちらがおすすめです。
【相続で必要な戸籍まとめ】
この記事で分かること

- 死亡記載のある戸籍とは何か
- 除籍謄本とは何か
- 両者の決定的な違い(比較表)
- 相続で「どれを取るべきか」の判断フロー
- 取得の順番・窓口での伝え方
- よくあるミスと対策
- すぐ使えるチェックリスト
まず結論だけ知りたい方へ
- 死亡記載のある戸籍=戸籍に「死亡した事実」が書かれている(戸籍が“終わっている”とは限らない)
- 除籍謄本=戸籍に記載されていた人が全員いなくなり、その戸籍が閉鎖されたもの
- 相続では、多くの場合「死亡が分かる1通」では足りず、出生から死亡までの戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)が必要になることが多い
この結論を理解すると、手続きが一気に楽になります。
まず確認してほしいこと
同じ「相続」でも、提出先や目的で必要書類は変わります。
まずは次の3つだけ整理してください。
目的は何か
- 相続手続き(銀行解約・不動産名義変更・相続登記など)なのか
- 死亡の事実だけ確認したい手続きなのか
誰の戸籍が必要か
- 亡くなった方(被相続人)の戸籍か
- 相続人(配偶者・子など)の戸籍も必要か
提出先はどこか
- 銀行
- 法務局(不動産名義変更)
- 保険会社
- 年金関係
提出先ごとに「言い方」が違うので、ここを意識すると迷いが減ります。
死亡記載のある戸籍とは
戸籍は、出生・婚姻・親子関係・死亡などの身分事項を記録する制度です。
人が亡くなると、戸籍に「死亡」の記載が入ります。
ここで重要なのは、
戸籍に死亡が記載されても、その戸籍自体が閉鎖されるとは限らない
という点です。
たとえば、同じ戸籍に
- 配偶者
- 子ども
が在籍していれば、戸籍は続きます。
この場合、亡くなった方の欄には死亡の記載があるけれど、戸籍全体としては「現役(存続)」です。
除籍謄本とは
除籍謄本は「戸籍が閉鎖された状態」の戸籍です。
戸籍に記載されていた人が全員、
- 死亡した
- 婚姻や転籍などで別の戸籍に移った
などの理由でいなくなると、その戸籍は閉鎖されます。
閉鎖された戸籍が「除籍」で、その写しが「除籍謄本」です。
つまり除籍は「個人の死亡」ではなく、戸籍全体の終了を意味します。
比較表で一発整理
| 項目 | 死亡記載のある戸籍 | 除籍謄本 |
|---|---|---|
| 何が分かる? | 死亡した事実が戸籍に記載されている | 戸籍が閉鎖されている(誰もいない) |
| 戸籍の状態 | 存続している場合もある | 閉鎖している |
| いつ発生? | 亡くなった時点で記載される | 戸籍に在籍者が誰もいなくなったとき |
| 相続での扱い | これだけでは不足しやすい | 必要になることが多い(過去の関係確認) |
| 取得場所 | 本籍地 | 本籍地 |
相続で「死亡が分かる戸籍」だけでは足りない理由

相続の世界で戸籍が重要なのは、死亡の証明だけではありません。
本当の目的はこれです。
相続人(法定相続人)を確定すること
相続では、亡くなった方に
- 前婚の子がいないか
- 認知した子がいないか
- 養子がいないか
などを確認する必要があります。
現在の戸籍(最後の戸籍)だけでは、過去の情報が見えないケースがあります。
そのため、提出先から
「出生から死亡までの戸籍」
「除籍や改製原戸籍も必要」
と言われることが多いのです。
詳しい取り方・どこで取るかは、こちらで完全整理しています。
【内部リンク:出生から死亡までの戸籍はどこで取る?なぜ必要?】
ケース別|どれを取ればいい?
ここからが一番大事です。
「自分はどれを取ればいいか」をケースで判断できます。
ケース1:相続(銀行口座の解約)
多くの銀行は、相続人確定のために
出生から死亡までの戸籍一式を求めます。
このとき「除籍謄本」が含まれることがよくあります。
死亡記載のある戸籍1通だけだと不足しがちです。
ケース2:相続(不動産の名義変更・相続登記)
法務局関係も同様に、相続関係を確認するため
出生から死亡までの戸籍が必要になりやすいです。
さらに「最後の住所」確認として住民票の除票が必要になることもあります。
除籍と除票を混同しやすいので、ここは先に整理しておくと強いです。
【内部リンク:除籍謄本と住民票の除票の違い】
ケース3:死亡の事実だけ分かればいい(簡易手続き)
提出先によっては、死亡の記載が確認できれば足りる場合もあります。
ただし「相続目的」なら例外は少なく、結局は戸籍をさかのぼるケースが多いです。
判断フロー|迷ったらこの順でOK

次の流れで判断すると、迷いが止まります。
- 相続目的か?
YES → 原則「出生から死亡まで」を想定
NO → 死亡確認だけで足りる可能性あり(提出先に確認) - 提出先が銀行・法務局・保険会社か?
YES → 出生から死亡までを求められやすい
NO → 手続きの要件を確認 - 本籍地は分かるか?
YES → 本籍地で戸籍請求
NO → 最新の戸籍(分かる範囲)から「前の本籍」をたどる - 戸籍が複数ある理由が分からず混乱している
→ 仕組みから整理すると早いです
【なぜ1人の人にいくつもの戸籍があるのか?】
窓口で失敗しない「伝え方」
窓口や郵送請求のとき、これが一番スムーズです。
- 「相続手続きで必要な、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集めたいです」
- 「転籍がある場合も含めて、必要な戸籍を教えてください」
提出先が決まっているなら、
「銀行提出用」「法務局提出用」など目的も一言添えると、案内が早くなります。
よくあるミスと回避策
死亡記載=除籍だと思い込む
死亡は個人の出来事、除籍は戸籍全体の状態。
ここを混同すると「必要書類の取り違え」が起こりやすいです。
最新の戸籍1通だけ取ってしまう
相続目的なら不足しがちです。
「出生から死亡まで」を前提に動く方が、結局早いです。
本籍地と住所地を混同する
戸籍は本籍地で管理されています。
(広域交付が使えるケースもありますが、まずは本籍地確認が基本です)
除籍と除票を混同する
除籍=戸籍(家族関係)
除票=住民票(住所)
【除籍謄本と住民票の除票の違い】
すぐ使えるチェックリスト
□ 相続目的か(銀行/法務局/保険など)を確認した
□ 提出先が求める書類を確認した(通数・原本返却の有無)
□ 本籍地が分かる(または最新戸籍で前本籍を追える)
□ 「出生から死亡まで」が必要になる前提で動いている
□ 除籍と除票を混同していない
□ 取得後、足りない期間がないか確認する(抜けがないか)
まとめ|結局、相続なら“出生から死亡まで”が安全
死亡記載のある戸籍と除籍謄本は、同じではありません。
- 死亡記載のある戸籍:死亡の事実が書かれている(戸籍が終わっているとは限らない)
- 除籍謄本:戸籍全体が閉鎖されたもの
相続手続きでは、死亡の証明だけでなく
相続人の確定が必要になるため、結果として
出生から死亡までの戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)
を求められることが多いです。
迷ったら、まず全体像を整理してから動くと失敗が減ります。



