この記事は「自分のルーツを知りたい」「家系図を作ってみたい」と考えている方へ向けて、市役所を利用した家系図調査の方法や必要な費用、注意点などをわかりやすく解説します。
家系図は、自分や家族の歴史を知る大切な資料。正しい手順を知っておくと、無駄なくスムーズに作成できます。
市役所で家系図を調べる方法
家系図を調べる最初のステップは戸籍謄本(こせきとうほん)を取り寄せることです。
戸籍謄本には「家族のつながり」や「生まれた日・亡くなった日」など、家系図を作るうえで欠かせない情報が記録されています。
- まず自分の本籍地を確認します。
- 市役所(住んでいる場所の市区町村役所・役場)に行くか、本籍地に郵送で戸籍を請求します。
戸籍謄本を取得すれば、家族の歴史をたどる第一歩を踏み出せます。
戸籍広域交付の概要・条件
戸籍広域交付とは、本籍地の市役所まで行かなくても、全国どこの市区町村役場でも自分や直系家族の戸籍謄本(全部事項証明など)を請求できる制度です。
2024年3月から全国で利用可能になり、これまで必要だった本籍地への移動や郵送手続きが不要になりました。
家系図作成では複数世代の戸籍を短期間で集められるため、時間や費用の節約に大きく役立ちます。
利用できるのは本人・配偶者・父母・祖父母・子・孫など直系血族のみで、マイナンバーカードや運転免許証など顔写真付きの本人確認書類が必須です。
代理人による申請はできず、委任状を提出しても受理されません。
また、戸籍抄本(個人事項証明)や一部の附票・証明書など、広域交付の対象外となる書類もある点に注意が必要です。
家系図調査をスムーズに進めたい方にとって、広域交付は非常に便利で頼れる制度といえますが、自治体によっては、受付に時間が掛かったり、相続などによる請求と条件が異なる場合があるため、事前に市区町村の公式サイトや窓口で確認してから手続きすることが重要です。
市役所での家系図調査の基本
家系図調査は戸籍をもとに行う作業です。
戸籍には、出生・結婚・死亡など家族の大切な出来事が記載されています。
- まずは本籍地を確認しましょう。
- 戸籍は本籍地の市役所に保管されているため、調査にはその市役所に問い合わせが必要です。
調査を進める際のポイントは、取得した戸籍謄本を手がかりに、自分の家系(父・母・祖父・祖母などの祖先)を一代ずつ確認しながら遡っていくことです。
新たに取得した戸籍に、さらにその親世代の情報が記載されていれば、次に請求する戸籍が分かります。
こうして少しずつ先祖をたどっていくことで、家系図が完成していきます。
市役所に行けば、すぐに家系図ができる訳ではありません。
自分で家系図を作成する場合は、自分で1人ずつ確認する作業がありますので注意してください。
戸籍の取り方には、窓口での直接申請と郵送による申請の2種類があります。
家系図調査に必要な書類と手続き

家系図を調べるには、次の書類や情報が必要です。
- 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 請求書(市役所でもらえる用紙に記入)
- 記入する内容:氏名、本籍地、取得したい戸籍の種類(謄本か抄本か)など
これらを準備してから手続きを始めると、スムーズに進みます。
市役所の窓口で調べる場合
- 市役所窓口で書類を提出
- 申請内容を職員が確認
- 手数料を支払い、戸籍を受け取る
手数料は市区町村ごとに違いますが、1通450~750円前後が目安です。
当日その場で受け取れることがありますが、
本籍地ではない役所では、数日かかる場合もあります。
郵送で戸籍を請求する方法
現在は、戸籍広域交付制度があるため、本籍地以外で戸籍謄本を取得する方法があります。
ただ、請求するのに条件があるため、
例えば、顔写真付き証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)がない、
などで広域交付制度が利用できない場合や市役所が遠い、平日に行けない場合は
本籍地への郵送請求が便利です。
- 請求書に必要事項を記入
- 本人確認書類のコピーを同封
- 手数料分の郵便小為替を入れる
- 本籍地の市役所あてに郵送
ただし、届くまでに数日〜1週間程度かかることが多いので、時間に余裕をもって手続きしましょう。
家系図調査にかかる費用

費用の中心は戸籍謄本の取得料です。市区町村により差がありますが、
1通あたり450〜750円程度。
さらに専門家に依頼する場合は数万円~数十万円と大きな費用がかかります。
項目 | 費用の目安 |
---|---|
戸籍謄本取得 | 450円〜750円(1通あたり) |
専門家に依頼 | 数万円〜数十万円 |
自分で行うか専門家に頼むか、目的と予算に合わせて方法を選びましょう。
無料で調べる方法
図書館やインターネットを利用して過去の文献や地域の資料を調べる方法もあります。
お金をかけずに楽しみながら情報を集められますが、正式な家系図には戸籍の確認が不可欠です。
自分で家系図を作る手順

家系図を自分で作成するには、まず自分の本籍地を確認して戸籍謄本を取り寄せることが基本です。
戸籍に記載された親や祖父母の情報を一つずつたどることで、家族の歴史を整理できます。
ここでは、初めての方でも取り組みやすい、具体的な手順を詳しく解説します。
1. 本籍地を調べる
家系図調査の出発点は本籍地の確認です。
本籍地は住民票に記載されています。手元に住民票がない場合は、市役所で発行してもらいましょう。
本籍地・筆頭者が分からなければ、役所で受付してくれません。
2. 戸籍謄本を取得する
次に、役所で現在の戸籍謄本を取り寄せます。
戸籍謄本には、自分や両親、祖父母の氏名・生年月日・続柄などが記載されており、家系図作成の土台となる重要な資料です。
- 市役所の窓口で直接請求する方法(本籍地の役所・本籍地以外の役所で広域交付)
- 郵送で請求する方法(本籍地の役所)
の2つがあり、1通450円~750円程度の手数料がかかります。
郵送の場合は到着まで数日から2週間程度を見込んでおきましょう。
3. 祖父母やさらに上の世代の戸籍を請求する
現在の戸籍だけでは、両親や祖父母より上の世代の情報は十分に分からないことがあります。
そのため、取得した戸籍を手がかりに、さらに一世代ずつさかのぼって古い戸籍を請求します。
- 古い戸籍は「改製原戸籍」「除籍謄本」などと呼ばれ、明治時代や大正時代までさかのぼれる場合もあります。
- ただし、古い戸籍は文字が旧字体や手書きの場合も多く、読解にはある程度の知識が必要です。
戸籍を1世代ずつ丁寧に集めていくことで、家系図の全体像が見えてきます。
4. 家族から直接話を聞く
戸籍だけでは分からない家族の思い出やエピソードを補足するため、
両親や祖父母、親戚に直接話を聞きましょう。
- 出生地や職業、当時の暮らし
- 思い出話や写真にまつわるエピソード
- 改姓や転籍など戸籍に記載されない事情
これらの情報は家系図をより豊かで温かいものにしてくれます。
5. 家系図を整理して図にまとめる
情報が集まったら、家族関係を図にまとめます。
A3サイズの用紙やパソコン、専用アプリなど、自分が見やすい方法を選びましょう。
- 手書きの場合:ノートや模造紙に世代ごとに枠を描き、名前や生年月日を書き込む
- デジタルの場合:家系図作成ソフトやオンラインサービスを活用すると、修正や共有が簡単です
世代ごとに色分けしたり、出生地・職業・思い出などをメモとして添えると、後から見たときに分かりやすくなります。
6. 仕上げと保管
完成した家系図は、データと紙の両方で保存すると安心です。
紙に印刷してファイルやアルバムに保管すれば、親戚の集まりや将来の子どもや孫へ引き継ぐ際にも役立ちます。
データで保存する場合は、パソコンやクラウドサービスにバックアップを取っておくと紛失の心配が減ります。
💡 ポイント
- 先祖をさかのぼるには複数の戸籍が必要になり、取得費用が数万円規模になる場合もあるため、事前に予算を立てておくと安心です。
- 旧字体や古い記録は読み解くのに時間がかかるため、ゆとりあるスケジュールで取り組みましょう。
注意点とトラブル対策
家系図調査を行う際には、以下の点に注意しましょう。
- 古い戸籍には誤りがあることも
何十年も前の戸籍は、記載内容が不正確な場合があります。
必ず複数の資料で確認しましょう。 - 戸籍謄本を読む基礎知識が必要
戸籍は昔の書式や専門用語が使われている場合があり、読みにくいことがあります。
あらかじめ戸籍の見方を調べておくと安心です。 - 戸籍謄本の取得費用が積み重なる
直系の先祖をさかのぼるには、複数の戸籍謄本が必要です。
1通450〜750円程度でも、代々の戸籍をたどると合計が数万円になることもあります。
事前に予算を立てておくと安心です。 - 書類不足や記載間違いによる遅れ
請求書の書き間違いや本人確認書類の不足があると、発行が遅れる原因になります。 - 困ったときは専門家へ相談
情報が見つからない、読めない、途中で手続きが止まってしまった場合は、家系図調査に詳しい専門家へ相談するとスムーズに進められます。
家系図を作るメリット
家系図を作ることは、単なる趣味や記録以上の大きな価値があります。
自分や家族の過去を知ることで、心のつながりや将来の安心感を得られるほか、日常生活のさまざまな場面で役立つ情報を整理する手助けにもなります。
1. 自分と家族のルーツを知り、自己理解が深まる
家系図を作ることで、自分がどのような歴史や環境の中で育まれてきたのかが見えてきます。
祖父母や先祖の生き方や職業、地域の歴史を知ることで、自分の価値観や性格の背景を理解するヒントになります。
また、自分のルーツを知ることは、家族への誇りや絆を強め、心の支えや安心感をもたらします。
2. 家族の絆が強まり、世代を超えた交流が生まれる
家系図作りは一人で完結するものではなく、親・祖父母からの聞き取りや写真の整理など家族との協力が必要です。
一緒に思い出を振り返る中で、忘れかけていたエピソードや家族の温かいエピソードがよみがえり、世代を超えた交流のきっかけになります。
離れて暮らす家族との話題づくりや、次の世代に「家族の物語」を引き継ぐ貴重な体験にもなります。
3. 相続や法的手続きがスムーズになる
家系図は、相続や遺産分割、葬儀の際の親族確認に役立つ重要な資料です。
あらかじめ家系図を整理しておけば、誰が相続人なのかが一目で分かり、手続きの時間短縮やトラブル防止につながります。
特に複数の相続人がいる場合や、親戚付き合いが少ない家庭では大きな安心材料になります。
4. 未来の世代への貴重な贈り物になる
家系図は単なる記録ではなく、未来の家族に向けた財産です。
将来の子や孫が自分のルーツを知りたいと思ったとき、正確でまとまった家系図があれば大きな手助けになります。
これは家族の歴史を未来へつなぐ大切なバトンでもあり、家族の存在を後世に残す尊い行為といえます。
5. 健康や遺伝に関する理解が深まる
近年では、家系図を通じて家族の病歴や遺伝的な傾向を把握する活用法も注目されています。
特定の病気の傾向が分かれば、健康管理や予防の参考になる場合があります。
自分や家族の健康を守るための「生活習慣の見直し」にもつながります。
今後の展望
近年は戸籍情報のデジタル化やAI活用が進み、家系図作りがより便利になっています。
オンラインで戸籍を取得できる自治体や、AIが自動で家系図をまとめるサービスも登場し、調査の手間は今後ますます減る見込みです。
まとめ
- 家系図を作るには戸籍謄本の取得が第一歩
- 市役所での手続きは窓口または郵送、費用は1通450~750円程度
(代々の戸籍をたどると合計が数万円になることも) - 無料調査も可能だが正確性のため戸籍確認は必須
- 専門家に依頼すると数万円〜数十万円かかる場合も
- デジタル化やアプリ活用で、より手軽に家系図を作成できる時代が到来中
自分のルーツを知ることは、家族の絆を深め、未来に大切な記録を残す大きな一歩。
まずは本籍地を確認して、市役所で戸籍謄本を取り寄せることから始めてみましょう。
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